日本聖公会声明文

日本聖公会から

 わたしたち日本聖公会は、他の信仰、他の宗教に生きる人びととも、キリストの和解の務めを分かち合いたいと願っています。
 他宗教との対話と協働は大切なことですが、しかし一九九五年に起きた地下鉄サリン事件などで明らかなように、ある特定の宗教団体が、意図的に犯罪を起こし、多くの人びとの生命、財産、身体、そして心を傷つけることがあるという事実も直視する必要があります。
 世界基督教統一神霊協会(以下・統一協会)は、キリスト教を自称して、盛んに活動を行っています。一九九八年のランベス会議では、如何にキリスト教を名乗っていても、キリスト教でないことがはっきりしている宗教団体について、いくつか具体的な名前をあげていますが(邦訳P251)、統一協会も当然それに含まれると思います。
 統一協会については、皆さんもマスコミ報道などをとおして、彼らが起こした事件を耳にしたことがあると思いますが、以下に、わたしたちが問題だと考える点を述べさせていただきます。
 第一に、その伝道方法が問題です。統一協会は、最初決して、自分たちが統一協会の者であることを明らかにせずに、人びとに接近し、勧誘します。そしてその人のまじめな人生上の不安や悩みに乗じ、さまざまな手法を用いて、入信へと導いてゆくのです。
 入信へと至った人びとは、家族、友人、社会から分け隔てられ、統一協会だけの価値に完全に従属して生活することになります。家族の方々には、入信後の消息がまったく知らされないことも多いのです。
 こうして信者となった人びとに課せられるのは、新しい人を獲得するために正体を隠して勧誘することと、統一協会の経済活動を支えるための違法な霊感商法に従事することなどです。
 また、統一協会から脱会した人びとがその後も、重い精神的な障害(PTSD)に苦しんでおられることが報告されています。
 わたしたちは、家族が入信して苦しい日々を過ごしておられる人びと、脱会して未だに心の中に重い障害を負っておられる人びと、霊感商法によって精神的にも経済的にも被害を受けられた人びとが多くおられる現実に目を向けなければならないと思います。
 正義と平和委員会は、この世界で小さくされている人びとと共に歩むことを願って、日本聖公会総会で立てられた委員会です。わたしたちは、統一協会という他宗教の信仰内容を問題視しているのではありません。統一協会によって被害を受けておられる方が、現にわたしたちの周りにおり、そして今後も被害を受ける人びとが生まれる可能性のあることを、わたしたちは深刻に受けとめているのです。

正義と平和委員会